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ウジューヌ・カリエールへの旅

ウジューヌ・カリエールへの旅

井野口慧子
A5判、210ページ、発行所:メディクス
定価 2、000円


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 どんなに頑張っても、自分にはできないことができる人、羨望が尊敬に変わり、その虜になってしまったような挨拶が続いた(主題の本の出版記念会)。私もその一人で、自然科学系の学会誌に論文を投稿したら、文学的で叙述的な表現を注意された。

 森羅万象そして人との出会い、すべてを暖かく受け止めて新しい息吹に変えてしまうような感性の豊かさに溢れた本です。それをそのまま表現した詩、「ビスカヤ湾の岸辺」にはじまる、主題の画家の絵にも生き方にも重なる著者のエッセイ集であるが、全編に生きることの喜びが満ち溢れていると思うのは私だけだろうか。

 会員として、東広島市自然研究会会報(第37号)に投稿いただいた、林原自然科学博物館見学ツアーの感想文も再録されている―改めて読み直し、その繊細な感性には憧憬の念さえ抱いた。

 その一端は、表紙の銅版画(親友:中西征子さん作)に伺える。アンモナイトやフズリナ、水を蓄えた断層、太古の生物に根ざした生命の木。井野口さんがこの絵を選ばれたエピソードを聞く楽しみが残されている。

沖村雄二

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