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ブログ/2013-04-04

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『岩石の会』の旅

画像の説明

 ミーアキャットです。
 4月3日に『O先生と行く山陰海岸の旅No.11』に参加しました。愛称は『岩石の会』で,O先生は広島大学名誉教授(地質学会名誉会員),その他総勢18人の旅でした。行き先は島根県雲南市大東町です。現地では島根県の地質に詳しい島根大学名誉教授のY先生も合流されて,熱心な説明をされました。
 広島を出発して中国山地付近ではかなりの雨となりました。『弁当忘るも,傘は忘るな』という山陰のことわざどおりになるかと心配しましたが,現地に着いた途端,雨が上がり一安心でした。

1. 海潮(うしお)の陥没
 赤川沿岸(上の写真)で,花崗岩中の断層破砕帯のすぐそばに,花崗岩の角礫からなる礫岩が分布するという,特異な地質がみられます。これはつぎのように解釈されています。
 花崗岩中に大きな断層が発生 → 崖と陥没帯が形成 → 花崗岩の崖から岩塊や角礫が落下して堆積(崖錐堆積物の生成) → 後に崖錐堆積物が固結して(角)礫岩が形成された(時代的には2,300万年から1,800万年前,新第三紀中新世)
 写真-1,2は赤川左岸で見られる断層に伴う破砕帯で,熱水変質により黄褐色化,粘土鉱物化して,金属鉱物も生じています。
 写真-3,4は,上記断層露頭より,赤川沿いに約50m下流に露頭する花崗岩の礫岩です。径5㎝~90㎝の角礫~岩塊からなっています。

写真-1 花崗岩の断層破砕帯の観察(赤川左岸).jpg
写真1

写真-2 花崗岩の断層破砕帯・熱水変質帯.jpg
写真2

写真-3 花崗岩の礫岩の観察(赤川右岸).jpg
写真3

写真-4 花崗岩の礫岩(径5~90㎝の角礫).jpg
写真4

2.赤川沿岸の火砕流・溶結凝灰岩・凝灰岩 
 1の地点から赤川沿いに遡りますと,川床にデイサイトの礫などを含む火砕流が広く露頭しています(写真-5)。さらに遡りますと,左岸側に安山岩質溶結凝灰岩(写真-6,軽石が扁平につぶれている),凝灰岩(写真-7)の露頭が見られます。
 日本がユーラシア大陸東縁から離れ始め,日本海が形成され始めた頃に起こった激しい火山活動による火山岩と考えられています。なお,これらと同様の地質は,山陰のみならず,北陸・東北・北海道の日本海側に広く分布しています。

写真-5 火砕流(赤川川床) (1).jpg
写真5

写真-6 安山岩質溶結凝灰岩(赤川左岸).jpg
写真6

写真-7 凝灰岩(赤川左岸).jpg
写真7

3.海潮(うしお)温泉
 この温泉は西暦700年頃には見つかっていて,出雲風土記にも登場する由緒ある温泉だそうです。赤川の左岸にある温泉旅館の海潮荘さんで昼食です。久々にりっぱな料理を戴きました(写真-8)。
 囲炉裏の自在鉤の横木が魚の形をしており,なんとなく気持ちがなごみます(写真--9)。この海潮荘さんの地下にある源泉を特別に見させていただきました。一瞬で曇るカメラとメガネのレンズを拭きながら撮りました(写真-10)。源泉の温度は45.9℃,ナトリウム硫酸塩塩化物泉(低張性弱アルカリ性温泉)と書いてありました。 
 露天風呂は蛇紋岩のタイル張りで,お湯がエメラルドグリーンを呈していて,なかなかよい雰囲気です(写真-11)。温泉に入らずに見学だけして帰るのは,とても残念でした。蛇紋岩のタイルとスリッパのコラボレーションはなかなかおもしろい絵になりました(写真-12)・・・とひとり喜んでいます。
 露天風呂の一角には樹齢800年のシイの巨木があります(写真-13)。ずっと温泉の熱気と接していて,長生きができているのかも知れませんね。

写真-8 海潮荘で立派な昼食.jpg
写真8

写真-9 昼食風景と魚の横木.jpg
写真9

写真-10 源泉の特別見学(45.9→42℃).jpg
写真10

写真-11 露天風呂.jpg
写真11

写真-12 蛇紋岩タイルとスリッパのコラボレーション.jpg
写真12

写真-13 露天風呂傍らのシイの木(樹齢800年).jpg
写真13

4.天然記念物・海潮のカツラ
 日原神社の横に,巨木の『海潮のカツラ』があります。昭和12年に天然記念物に指定されています(写真-14)。
根回り18m,高さ40m,樹齢数百年だそうです(写真-15)。逆光の葉がきらめいて,きれいでした(写真-16)。

写真-14 天然記念物・海潮のカツラ.jpg
写真14

写真-15 天然記念物・海潮のカツラ(根回り18m,高さ40m).jpg
写真15

写真-16 海潮のカツラ.jpg
写真16

5.山王子(さんおうじ)の地すべりと棚田
 島根県でも規模の大きい地すべり地帯とされています。新第三紀中新世の久利層と呼ばれる泥岩・凝灰岩の互層の上に,安山岩の強風化した崩積土が載っています。粘土化した久利層が不透水層となって地下水位を上昇させるために,久利層の流れ盤に沿って地すべり崩積土がすべっていると解釈されています。地すべり対策工事は,主に集水井による地下水位低下工法を採用していると聞きました。
 道路の横に久利層の凝灰岩(地すべり崩積土の下盤)が露頭していますが,風化変質粘土化していて非常に軟らかいです(写真-17,写真-18)
 この地すべり地帯は傾斜20度くらいと緩傾斜であり,地下水も豊富であるために,旧くから水田に使用されています。平成11年に『日本の棚田百選』に選ばれて,『山王子の棚田』として有名です(写真-19,写真20)。今回はまだ代掻き前でしたが,すべての水田に水が張られたり,田植えが終わると,さぞかし美しいことでしょう。カメラマンが行列をなすかも知れませんね。

写真-17 凝灰岩の露頭観察.jpg
写真17

写真-18 凝灰岩の露頭(粘土化して非常に軟質,地すべり崩積土の下盤).jpg
写真18

写真-19 日本棚田百選・山王子の棚田.jpg
写真19

写真-20 日本棚田百選・山王子の棚田.jpg
写真20

6.茅葺き屋根の民家
 上記凝灰岩の露頭の近くに,いまでは貴重な茅葺き屋根の民家がありました。茅葺き屋根研究家のかやネズミさんから,屋根の天辺が両側に反り上がっているのは,出雲地方に特徴的な様式であると説明がありました(写真-21)。納屋にはとても几帳面に薪が積み上げられていました(写真-22)。五右衛門風呂用でしょうか。

写真-21 今も残る貴重な茅葺き民家(出雲様式).jpg
写真21

写真-22 薪の芸術.jpg
写真22

7.八雲山の夫婦岩
 八雲山須我神社奥宮(御祭神は,須佐之男命・奇稲田比売命)の夫婦岩は,線路の枕木を再利用したと思われる階段を登ること400m,安山岩からなる巨石でした(写真-23,写真-24)。

写真-23 八雲山須我神社奥宮.jpg
写真23

写真-24 八雲山夫婦岩.jpg
写真24

 O先生,『岩石の会』主催者のKさん,Y先生,自然研ほか参加の皆様のご健康をお祈りしました。また,自然研のHPがりっぱになることも同時に・・・。

(なお,写真-25は,帰路の道の駅で買ったセンベイのホタルが可愛かったので,記録に残しました・・・ おまけです)

写真-25 おまけ(帰路,道の駅で買った源氏ホタルのセンベイ).jpg
写真25



コメント

  • 現地ではお天気になり、参加者ともども楽しい時間を過ごすことができましたね。どこを見ても花盛りの一日でした。島根県の雲南地域の魅力あるポイントを探訪し、きれいに纏めていただいた報告文です。このまま来年度の会報に転載したいです。・・・軟弱なヌシは海潮(うしお)温泉の湯けむりに我を忘れ、帰りたくなくなり、2週間ぐらい湯治?と称して、ゆっくり滞在したいと思いました。。 -- ヌシです 2013-04-04 (木) 10:59:15
  • 楽しい旅の報告ですね。地質に岩石、植物、温泉、棚田、茅葺き、盛りだくさんですね。私も湯治に同行したいです(笑)。個人的には囲炉裏の自在鉤の横木の写真が大変面白いと思いました。なごみますね。蛇紋岩とスリッパも面白いですね。 -- ヨダレカケ 2013-04-04 (木) 12:36:59
  • そうでしょう、そうでしょう。ヌシさんもヨダレカケさんも今冬オオサンショウウオとあれだけ寒中水泳?をされたのですから湯治は当然です。お二人でごゆっくりどうぞ。いや、同行希望者が・・・。(笑) -- かやネズミです 2013-04-04 (木) 16:21:03
  • ヨダレカケさん,私には自在鉤の横木の魚の正面写真が,ドンコに見えてプッと笑ってしまいます。何もかもドンコに見えるのは椋梨の影響ですね,きっと。蛇紋岩タイルとスリッパを撮っていましたら,「私も入れて・・・」と足を出された方がいましたが,その写真が今回は載っておりませんで,すみません。先着順でしたので。
    あの露天風呂は,寒中水泳仲間としては是非訪れたいですね。露天風呂の一角にあるシイの巨木の幹に,まもなく95歳になられる巨木研究家のH先生のように,そっと耳を寄せて『あなたは何歳ですか』と尋ねてみたいと思います。 -- ミーアキャットです 2013-04-05 (金) 01:19:49

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