ブログ/2013-04-19
菅谷(すがや)のカツラ
ミーアキャットです。
『菅谷のカツラ』の話が出ましたので,平成22年9月と旧い記録ですが,島根県雲南市吉田町の菅谷のカツラを紹介します。ここ旧吉田村は,その昔,鑪(たたら)製鉄で栄えた所ですが,菅谷という集落に,高殿(たたら製鉄の炉のある建物)があり,その横に巨大なカツラの木があります(写真-1~3)。
以下,地元在住の教委の方から聞いたお話です。このカツラの木,4月初めに真っ赤に色づき,その後黄色,緑と色を変えるそうです。この真っ赤なカツラの写真を撮るために,4月初めにはカメラマンが700人くらい訪れ,三脚による場所取り合戦で大変だそうです。ただ,真っ赤に色づく時間は非常に短いそうで,年によってその時期も異なるためカメラマンは1週間くらい泊まりがけで,その瞬間を待つのだそうです。
たたら製鉄の炉の構造や炉の温度の調整等は,村下(むらげ)と呼ばれる技師長の秘伝で,書面にした記録は一切残さないしきたりであったそうです。
村下という人は大変権威のある人だったようで,屋敷も広く,高殿に上がる専用道路もあり,高殿の中にはこの人しか座れない場所もあるのです。炉に火を入れる前には神様にお祈りし,その家族は三昼夜祈り続けるのだそうです。よい鉄ができますようにと。写真-4は,その村下の家を下流から望む風景です。
この清流に,昔から地元のみなさんが洗い物をしていた踏み石があるのですが,そのすぐ近くにオオサンショウウオの住み家があると聞きました。こんなに人家に近いところに住んでいることもあるんだと親近感を覚えたものです。
写真-5は,ただの集落の写真のようですが,大阪万博の前に岡本太郎さんがテーマを求めて日本のあちこちを旅されたのだそうですが,島根県ではいたって機嫌が悪かったそうです。ところが,この菅谷集落を見下ろした途端機嫌が良くなり,高殿の中で1,500度に立ち上る炎の話を聞いてますます機嫌が良くなり,結局『炎』という作品を作られたそうです。ということで,是非写真に納めて帰って下さい・・・と教委の方から,岡本太郎さんお気に入りのスポットに案内されて撮ったのが写真-5です。写真の右端にカツラが見えます。
なお,写真-6~7は,現地で買い求めた絵はがきです。カツラの木の色を知って戴くために参考資料として引用添付しましたが,著作権は絵はがき出版元にあることは言うまでもありません。
余談ですが,『かわりばんこ』という言葉がありますが,これはたたらの炉の両方に足踏みふいごがあり,これを踏む人を『番子』と言っていて,それらが代わる代わる踏むため,『代わり番子』という言葉ができたと教えていただきました。
「菅谷たたら山内」修繕工事に伴う施設公開一時中止のお知らせ 「鉄の歴史村」HPより
国の重要有形民俗文化財「菅谷たたら山内」は、老朽化に伴う保存解体修理を平成24年10月30日から約5年間をかけて行います。 工事期間中は、下記の日程で関連施設の公開を一時中止致します。 ・菅谷高殿 平成24年10月30日~平成26年3月まで ・元小屋 平成24年10月30日~平成27年3月まで ・米蔵 平成26年11月~平成27年11月まで ・三軒長屋 平成27年9月~平成28年9月まで (村下屋敷) ※上記日程については、予定期間となっており変更となる場合がございます。 公開中止期間中は、建物内部をご覧になることはできませんが、三軒長屋において工事前の「菅谷高殿」や「元小屋」等「菅谷たたら山内」を撮影した3D映像の上映、地元ガイドによる周辺のガイド等を行ってまいります。 また、工事の進捗状況と併せ工事期間中の内部の特別公開を現在検討しております。
コメント
- 建て替えるらしいのー。カツラと高殿のソギ葺き屋根はどうなるんじゃろうか? -- かやネズミでがんす。 2013-04-19 (金) 10:44:22
- 行ってみたくなりました。ぜひ、行きます。友人にも教えましょう。
カツラや岡本太郎さんの炎、オオサンショウウオの棲む川-実感したいですね。
かわりばんこ・・そうだったんですね、知らんかったわー。 -- ヌシです 2013-04-20 (土) 01:48:03