ブログ/2013-06-21
福光石と青色片岩
ミーアキャットです。
石見銀山地質研究会による福光石(ふくみついし)と青色片岩(あおいろへんがん)の見学会に参加しました(6月15日)。見学会午前中は島根大学のT先生の講義をびっしり聴いて,午後に現場に向かいました。
福光石は島根県大田市温泉津(ゆのつ)町福光において,石材として坑内掘されています(写真-1)。1,500~1,600万年前の久利層(くりそう)の安山岩質火山礫凝灰岩です。日本列島がアジア大陸の東縁から離れ始め,日本海ができ始めた頃,海底火山から噴出した火山灰や火山礫が海底に堆積した地層と考えられています。
室町時代から400年以上採石が続いているそうです。信仰や生活に必要な石製品(神社仏閣・鳥居・狛犬・灯籠・墓石・石像・住宅・造園・土木等々)を,北海道から九州まで供給したそうです。特に,江戸時代に製作された石見銀山の羅漢像501体は,そのほとんどがこの福光石で造られていると聞きました(写真-2)。
写真-2 福光石の説明板
坑内は残柱式掘削工法です(写真-5)。
写真-5 残柱式掘削の坑道内
切り出された石材が坑内に整然と並べられています(写真-6~7)。
写真-6 切り出された福光石
ひとつの建造物で大量に使用する場合には,石材の品質ができるだけ異ならないように,同じ場所からまとめて切り出すそうです。きれいに切断された,とても深い掘削場所もありました(写真-8)。
写真-8 深い掘削
また,人の身長程度にきれいに掘削された坑道もありました(写真-9~11)。
写真-9 人の身長程度の掘削
福光石には,つぎのような特色があるそうです。
・水に濡れても滑りにくい → 温泉などの床材
・吸音声がある → 美術館などの静寂を要する場所の床材・壁面
・適度な吸水性
・有害ガスや嫌な臭いを吸着
青色片岩は三郡変成岩で,江津市波積(はずみ)町に露頭があります。青色をした藍閃石(らんせんせき)と黄緑色の緑簾石(りょくれんせき)が含まれています。プレートの沈み込み帯において,低温高圧状態(地下40㎞,450℃くらい)でできた岩石だそうです(写真-17~19)。
写真-17 青色片岩の露頭前
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