ブログ/2013-08-31
攻撃斜面の被災
ミーアキャットです。
連日の猛暑が続く中,8月24日には久しぶりに雨が降りました。広島はほどほどの雨だったように思うのですが,新聞記事によりますと,島根県邑南町付近では豪雨で,3時間の降雨量が201㎜だったそうです。8月の月間雨量の平年値を超す雨であったと書いてありました。
この豪雨により,島根県川本町因原のJR三江線井原川橋梁(147m)のコンクリート製橋脚10本のうち1本が流失し,鉄道が不通になったことが報じられました(写真2)。
たまたま,数日後にこの付近を通る機会がありましたので,現地を遠くから見てみました。現場は復旧作業の工事中で立ち入り禁止でしたので,望遠で見ました。(写真3)
この鉄橋が架かる『濁川(にごりがわ)』は,広島県中部の山県郡北広島町に源を発し,北部の三次(みよし)市を経て,中国山地を刻んで,延々島根県江津(ごうつ)市に流れ日本海に注ぐ一級河川『江の川(ごうのかわ)』の支流です。Google earthの空中写真により,濁川の形状と被災地の関係を見てみました(写真8~9)。
地図によりますと濁川は蛇行を繰り返している川であることが分かります。山地部の川の水流は,岩盤・地盤の軟らかいところを穿ち,硬いところを避けて流れます。この結果,水流がぶつかる”攻撃斜面”はますます浸食が進んで凹み,逆に屈曲した流路の内側は”滑走斜面”と呼ばれる緩斜面となります(滑走斜面側には多くの場合砂や砂礫などが堆積しています)。このような山地部における河川の蛇行を”穿入蛇行(せんにゅうだこう)”と呼んでいます。
今回の被災した鉄橋の橋脚は,まさにその攻撃斜面に当たり,水流が最も激しくぶつかる場所であったことが分かります。新聞記事には,濁川の水位は前日の10倍の4.34mで,地元の方のお話として『橋脚が折れ,10分で川に落ちていった』と書いてあります。私は専門家ではありませんので見当がつきませんが,この攻撃斜面に向かって強烈な水流が襲ったものと思われます。なお,被災した護岸部分は,地形的に見ると岩盤ではなくて,段丘堆積物(砂礫などの未固結堆積物)からなっているものと推定され,激しく洗掘されたものと考えられます。
被災された方々にお見舞い申し上げますと共に,復旧工事に携われている方々のご安全、ご無事をお祈り申し上げます。
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