ブログ/2014-06-15
猛鬼海岸 (1)
ミーアキャットです。
先日,石見銀山地質研究会による島根県大田市仁摩町の猛鬼海岸の地質観察会に参加しました。講師は島根大学H先生で,午前中は室内で講義を受け,有孔虫を実体顕微鏡で観察したり,液状化の実験をしました。
有孔虫は炭酸カルシウムの殻を持つ単細胞生物だそうです。大きさは0.3~1㎜程度ととても小さいです。海底に住むものと,浮遊生活を送るものがあるそうで,生存期間が分かっている種によって,地層の年代決定に役立つということです。
この猛鬼海岸の泥岩ブロックから採取された有孔虫は,およそ1200万年前のものであることが分かったと説明がありました。
液状化の実験はつぎのように行いました。砂に見立てた粗粒なガラス玉(青色に着色)と粘土に見立てた細粒なガラス玉(白色)と液体が封入された瓶を,かき混ぜて静かに沈降させると写真4のように堆積します。
つぎに,瓶の外側に指でわずかな振動を与えると,青色のガラス玉が吹き上がります(写真5)。この液状化現象が猛鬼海岸の砂岩で見られるそうです。
午後からは猛鬼海岸に出かけて観察会が行われました(写真6)。
海岸を遠くから見ると,下に白色の堆積層が,上に柱状節理が発達した安山岩溶岩が見えます(写真7)。
海岸に降りると,まず目に入るのが安山岩の水中自破砕溶岩の巨大な転石です(写真8~10)。
表面は細かく割れています。これを『ジグソーパズル構造』と言うそうです。ただ,割れているのは表面だけで,中は割れていませんでした(写真11)。
つぎに,泥岩・火山礫凝灰岩・安山岩などのブロックが混合した『混在岩』を見ました(写真12)。
この海岸の地層は新第三紀中新世の大森層と言われる地層で,混在岩の泥岩中には化石が認められます。写真13はサンゴの化石,写真14はツノガイの化石と教えてもらいました。
また,大きな泥岩ブロックから多数の有孔虫が発見され,1200万年前の有孔虫であることが分かったという露頭を見せてもらいました(写真15)。
写真15 凹んだところの泥岩試料から有孔虫が多数発見された。
さらに海岸を進むと,白色の縞々の砂岩層と,柱状節理が発達した安山岩溶岩がはっきりと見えてきました(写真16~17)。
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