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ブログ/2014-06-15

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猛鬼海岸 (1)

写真1 猛鬼海岸(赤いところは赤潮).jpg
写真1 猛鬼(もうき)海岸 (2014.5.31)

ミーアキャットです。
 先日,石見銀山地質研究会による島根県大田市仁摩町の猛鬼海岸の地質観察会に参加しました。講師は島根大学H先生で,午前中は室内で講義を受け,有孔虫を実体顕微鏡で観察したり,液状化の実験をしました。

 有孔虫は炭酸カルシウムの殻を持つ単細胞生物だそうです。大きさは0.3~1㎜程度ととても小さいです。海底に住むものと,浮遊生活を送るものがあるそうで,生存期間が分かっている種によって,地層の年代決定に役立つということです。

写真2 実体顕微鏡で有孔虫を見る.jpg
写真2 実体顕微鏡で有孔虫を見る

写真3 有孔虫.jpg
写真3 小さな有孔虫

 この猛鬼海岸の泥岩ブロックから採取された有孔虫は,およそ1200万年前のものであることが分かったと説明がありました。

 液状化の実験はつぎのように行いました。砂に見立てた粗粒なガラス玉(青色に着色)と粘土に見立てた細粒なガラス玉(白色)と液体が封入された瓶を,かき混ぜて静かに沈降させると写真4のように堆積します。

写真4 静かに沈降.jpg
写真4 静かに沈降させる(二層に成層している)

 つぎに,瓶の外側に指でわずかな振動を与えると,青色のガラス玉が吹き上がります(写真5)。この液状化現象が猛鬼海岸の砂岩で見られるそうです。

写真5 振動を与えると液状化.jpg
写真5 液状化現象の実験

 午後からは猛鬼海岸に出かけて観察会が行われました(写真6)。

写真6 猛鬼海岸に向かう.jpg
写真6 猛鬼海岸に向かう

 海岸を遠くから見ると,下に白色の堆積層が,上に柱状節理が発達した安山岩溶岩が見えます(写真7)。

写真7 上は安山岩の柱状節理,下は砂岩.jpg
写真7 下の白色部は砂岩等,上の茶褐色部は安山岩溶岩

 海岸に降りると,まず目に入るのが安山岩の水中自破砕溶岩の巨大な転石です(写真8~10)。

写真8 安山岩自破砕溶岩(ジグソーパズル構造).jpg
写真8 安山岩の自破砕溶岩

写真9 安山岩の自破砕溶岩.jpg
写真9 同上

写真10 安山岩の自破砕溶岩.jpg
写真10 同上

 表面は細かく割れています。これを『ジグソーパズル構造』と言うそうです。ただ,割れているのは表面だけで,中は割れていませんでした(写真11)。

写真11 自破砕溶岩。表面は破砕しているが中はしていない。.jpg
写真11 自破砕溶岩の断面(表面だけ細かく割れている)

 つぎに,泥岩・火山礫凝灰岩・安山岩などのブロックが混合した『混在岩』を見ました(写真12)。

写真12 泥岩・砂岩・火山礫凝灰岩・安山岩などの混在岩.jpg
写真12 いろいろな岩種が含まれる混在岩

 この海岸の地層は新第三紀中新世の大森層と言われる地層で,混在岩の泥岩中には化石が認められます。写真13はサンゴの化石,写真14はツノガイの化石と教えてもらいました。

写真13 大森層のサンゴの化石.jpg
写真13 サンゴの化石

写真14 大森層のツノガイ化石.jpg
写真14 ツノガイの化石

 また,大きな泥岩ブロックから多数の有孔虫が発見され,1200万年前の有孔虫であることが分かったという露頭を見せてもらいました(写真15)。

写真15 有孔虫が発見された泥岩の大きなブロック.jpg
写真15 凹んだところの泥岩試料から有孔虫が多数発見された。

 さらに海岸を進むと,白色の縞々の砂岩層と,柱状節理が発達した安山岩溶岩がはっきりと見えてきました(写真16~17)。

写真16 上は安山岩,下は砂岩.jpg
写真16 下の白色部が砂岩,上の茶褐色部が安山岩溶岩

写真17 砂岩を観察.jpg
写真17 砂岩の崖から落ちている転石を観察中



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