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2016年 産卵行動調査

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写真1 東広島市豊栄町椋梨川上流 2016年9月2日

ヌシです。
9/2 午後から夕方にかけて、オオサンショウウオの産卵行動調査をしました。2012年2月に幼生を初確認し、同年9月には産卵も初確認した場所です。以来、この時期にオオサンショウウオたちが産卵するので、この調査も恒例になり、連続で5年目になりました。さて今年はどうでしょうか?
この調査に集まってくれた有志12人は♂が占有する巣穴―私たちはイヤと呼び、その♂をヌシと言っています―数か所のイヤやそれらの周辺を観察しました。(写真1)

私も病気以来はじめて胴長をつけて、高い堰直下にオオサンショウウオを探しました。産卵のため遡上してくる彼らを阻む堰下です。残念ながら水が濁っていて、見つけることができませんでした。(写真2)

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写真2

移動先の上流側のイヤでは、運よく産卵行動を観察することができました。川岸を下る個体を発見。黒い大きな斑紋の目立つ大型個体が左岸のイヤ側の上流2m位のところから尻尾をゆっくり振りながら下ってきましたが、イヤ付近で姿を見失いました。イヤに入ったのでしょうか?この子は斑紋の特徴から誰なのか分かるでしょう(S先生談)。(写真3)

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写真3

30分後、別の小ぶりな個体を発見。イヤ斜め下流1.5m付近で、じっと前の様子をうかがうような素振りの黒っぽい個体はゆっくり、まっすぐイヤに入りました。そのまま出てきません。きっとこれから産卵でしょう。(写真4)

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写真4

出てくるのを待つこと2時間余り。再び現れた小ぶりな個体をさっそく捕獲。観察しました。体長48㎝、この子は新顔の♀でした。(写真5,6)

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写真5

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写真6

産卵の証拠となる卵を繋ぐ卵索を確認。尻尾の付け根の背面側に貼りついていました。(写真7)

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写真7

結果として、産卵の一部始終の観察は2012年以来2度目なりました。産卵行動を確認する調査は「大山椒魚」(小原二郎;1985)にも詳しく紹介されていますが、2~3晩連続して見張る努力など、私たちには不可能に近いことです。それが2度も!とは光栄です。幸運に恵まれています。また本日、別のイヤでは卵も確認できました。ここの♂はヤマサキクン、♀は?です。誰の子なのか気になっていますww(写真8)

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写真8

当初の目的は産卵の概要を知ることでしたが、目標とした全イヤにはもうすでにそれぞれヌシが入っていて、一つのイヤでは産卵が終わっていて、もう一つは本日産卵するなど大当たりの状況でした。産卵行動調査では今までにない最高の成果でした。「こんな当たりばかりもあるんだぁ~」と。「今年の産卵は早そうだ」とK先生からのご指摘、調査日を今日に決めたS先生の幸運に感謝です。

これからは里の秋が日増しに深まり、稲穂は黄金色に波打ち、いよいよ稲刈りですね。
ヌシは来年3月ごろまでの長期間、ひたすらイヤの中にいて、入り口に石のようにじっと構え、魚などの外敵の侵入を阻止し、卵に新鮮な水が行き渡るよう絶えず尻尾を揺らし、卵のふ化から幼生の離散までしっかり守ると言われています。すごいことですね。
(写真9 冊子「オオサンショウウオがいるらしい」山﨑;2015の表紙モデルになった里山風景)

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写真9



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