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ブログ/2023-03-09

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書籍「瀬戸内海西部の漁と暮らし」-安芸三津漁民稿 

進藤松司著 -神奈川大学日本常民文化叢書3-

画像の説明
写真1 カバー

小ヌシです。
命を繋いできた日本の「海の幸 山の幸」と言いますが、地魚の好きな小ヌシはここ何年も不満が続いています。特に最近は「小さくて値段が高い」と。大丈夫?
瀬戸内海に面した小さな町の小さな商売人の家庭で育ちました。また、仲良しに“漁師”さんの息子は幾人もいましたが、誰も後を継いでいません。そんなこともあり、海を前にしていても「海の暮らし」は全く知りません。せめてという気持ちで、この本を紐解いています。以前「安芸津町史」などでお伝えした東広島市安芸津町三津の故進藤松司さん(1907・明治40年生-1993・平成5年没)の貴重な“証言”です。(1994年 平凡社 508P)写真1

今、故郷の町も少子高齢化が顕著で、人口も往時の半分位でしょうか。「漁業関係者」も激減していると思われ、海を「生業の場」とされてこられた皆さんのいろんな話はもう伺うことはできないでしょう。 
添付は本の舞台となっている安芸津町三津湾です。写真2

岡田和樹2auto_XLozql.pdf - Adobe Reader.jpg
写真2 三津湾(平成22年10月)「東広島の自然誌Ⅳ号」より

本のカバーには以下の説明書き↓
~広島県豊田郡(現東広島市)安芸三津の漁民の40年にわたる手記と聞き書き。自らの人生、さまざまな漁法、魚の習性、観天望気、船の操り方、習俗等をつぶさに綴る。戦前・戦後と、変貌する瀬戸内の海に生きた体験と知識を注いで記録した漁村民俗誌の記念碑的作品。~
また、(公財)渋沢栄一記念財団のHP「資料館だより はじめまして」にも、進藤さん著作の「安芸三津漁民手記」が紹介されていました。↓
~農業を営む吉田三郎による『男鹿寒風山麓農民手記』、漁師の進藤松司による『安芸三津漁民手記』は、1930年代にアチックの彙報として刊行されたものです。吉田も進藤も学歴は小学校卒業まで。しかしその内容は、実際に携わったものでなければ書けない意味あるものでした。(渋沢)敬三は『安芸三津漁民手記』の序文で「実際本書は進藤君の血と汗とで書かれたものなのだ。単なる資料でもなければ外来者の観察でもない。同君多年の苦心の結晶であり、漁撈家としての現実の叫びであり、また同君の体験を通じて吐露された瀬戸内漁民の理想と希望でもある」と記し、これらが現実の「経験的記録」といえるような貴重なものであると記しています。農業、漁業を営む中での経験としての知識や改良の様など、まさに実業の記録です。~

再度読ませていただき、戦前・戦後の厳しい光景が眼前に浮かぶようで涙が出そうです。そう言えば、生前の進藤松司さんに一度だけお会いしたことがあります。休日の昼下がり、安芸津町の国道から路地をちょっと中に入ったご自宅で、初対面だったにもかかわらず、着流し(和服)姿で収集されたタコ壷を見ながら、穏やかにいろいろな事を聞かせてもらいました。ありがとうございました。貴重な思い出。あれから40数年経ったのですね。

ちょうど、海と生きもの好きなO君から「海」のメールが写真とともに届きました。以下、ご披露します。↓、写真3

~Oです。ここ(三原市幸崎町)は味潟(あじかた*昔の地域名)の海。家で食べる一年分を採りに。ヒジキもワカメも本当に少ない。かつて漁で栄えた潮香る町、豊穣の海は何処へ。

岡田和樹3日、—30304image0.jpeg
写真3 息子さんと 背景は大久野島など Oさん撮影

~小ヌシです。深刻な現状を教えていただきありがとう。気になっていたところです。

◎はじめまして|史料館だより|渋沢史料館|公益財団法人 渋沢栄一記念財団 (shibusawa.or.jp)

◎進捗状況および成果報告一覧|戦前の渋沢水産史研究室の活動に関する調査研究|共同研究|国際常民文化研究機構 (kanagawa-u.ac.jp)

参考*東広島の自然誌(安芸津三津湾)ほか
  :ブログ/2023-01-22(安芸三津漁民手記)ほか



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