ブログ/2013-06-03
花田植
ミーアキャットです。
先日,郷里の同級生の田圃で行われた花田植の見学に行きました。もらったパンフレットにはつぎのように説明してあります。
『昔の人たちは,米作りのために終日,泥土にまみれ,粗衣粗食に耐え,米という字のごとく,八十八日も田ごしらえに手をかけ,やっと田植えにこぎつけたものです。花田植は,秋の豊作・凶作を支配する田の神をまつり,人や牛馬の安全,穀物の五穀豊穣を祈願するもので,田植えの共同作業を表現しています。花田植の名称は,ところによっては,はやし田・田楽ばやし・飾り田植え といわれています』
小学生・中学生から大人まで3世代総勢約40名です。まず,飾牛も参加して神事がありました。これも同級生の屋敷の広い庭です(写真-2~3)。神事は,大太鼓と笛の情緒あるリズムとメロディーを伴って行われます。
神事が終わったら,まず飾牛4頭が田圃に入り,代掻きをします。この花田植専門だそうで,人の言うことをよく聞き分けています(写真-4~6)。
カメラマンが勢揃いしているところでは,” 馬鍬(まぐわ)おし”さんに,小声で『バック,バック』と言われて,上手にバックしていました(写真-7)。このうちの一頭は臨月だと言われていました。本人にしたら,乳が張って気が気ではなく花田植どころではないと,解説がありました。
代掻きが終わったら,柄振(えぶり)を突きます。代掻き後の耕やした面をできるだけ水平にして,田植えをし易く,後で水を張った時の水深を一様にするためです(写真-9)。
えぶりが終わると,いよいよ”さんばいさん”と,大太鼓・小太鼓・手打ち鉦・笛,早乙女さんの登場です(写真-10)。
“さんばいさん”とは,ササラという竹製の楽器を打ち鳴らして,早乙女さんと掛け合いで歌い,音頭を取ります。歌の内容は,人や牛馬の安全を願い,五穀豊穣を祈願するもの,田の神様を休憩宿に案内して,たくさんのご馳走(ふき,栗,松茸など)をささげるもの,いろいろな世間話,さらには忠臣蔵まであるそうです。六調子というゆっくりした歌です(写真-11)。
小太鼓はかわいい小学生の女子がたたきました(写真-13)。
早乙女さんは,お母さんと娘さんという方も見受けられました。さんばいさんの歌がゆっくりした調子なので,植えるのは,20~30秒に一回くらいでしょうか。歌と一斉に植えるタイミングが決まっているようです(写真-14~15)。
昔は,苗は苗代から取って,藁でくくった径5~6㎝のものでしたが,時代も変わり,今は田植機専用苗床を持って後に控えておられます(写真-16)。
さらに,昔は田植え前に,六角形の定規木枠(名前を忘れました)を転がして,正方形の形を付けて,その十字の所へ植えていましたが,いまは,ビニールテープを等間隔に巻いた紐を張って,これを目印に植えておられました(写真-17)。
大太鼓の方は,房で飾ったバチを,時々バトントワラーのように頭上に投げ上げながらたたかれますが,たまには泥の中へ。そうすると,このように(写真-18)。
早乙女さんのピカピカの白足袋はこのように(写真-19)。
郷里では,久しく途絶えていた花田植を昭和50年に復活したそうですが,代々受け継がれていかれるのはいいものですね。
ところで,同級生の庭では,昔の水車小屋の石臼が,蓮の住み家になっていました(写真-22)。
コメント
- 片廻山(かたもうしやま?)が「かっこ良い形」ですね。
あの地区でも花田植え行事が復活実施されているんですね、知らんかったわ~。
久しく途絶えていたと書かれていましたが、ミーアさんの古い思い出にありますか? -- ヌシです 2013-06-03 (月) 16:01:47 - はい,子どもの頃はいつも見ていました。ただ,最初から全部通して見たのは今回が初めてです。小太鼓の少女のお母さんが,7~8m離れたところから,つきっきりでコーチされるなど,ほほえましい光景がありました。親から子供へ引き継がれる伝統は心暖まるものがありました。 -- ミーアキャットです。 2013-06-03 (月) 18:18:27
- 今回のさんばいさんは,この日がデビューだそうです。以前の方の歌声を収録したCDを,通勤の車の中で毎日30分間流して,特徴ある節回しを覚えてきたと,中国新聞の記事(2013.5.25)にありました。
スタンバイ中の飾牛さんは,ピカピカに磨かれていて,待ちに待ったこの時期ならでは大きな役目を前に,なんだか誇らしそうな目をしていて可愛かったです。最近の田圃は花田植え前にトラクターであらかた代掻きが済んでいますので,牛さんも昔よりは少し楽ができているかなと思いました(笑)。 -- ミーアキャットです。 2013-06-03 (月) 18:52:32