自然に親しみ、観て触れて学びながら、自然を守ろう

灰釉作り(タデアイとすずめ)

灰釉作り(タデアイとすずめ)

道野忠司


 私は趣味で陶芸をしています。最近時間が取れず陶芸から離れていました。ところがエコバスツアー『まるごと西中国山地』で筒賀神社の下見をした時に、ピンク色のタデアイの花を見つけました。宮司さんに尋ねると筒賀中学校の美術の授業で、藍染に使うため栽培されているということでした。

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タデアイの花.jpg
タデアイの花

 陶芸の釉薬に使ってみたいと思い中学校にお願いしたところ、2番芽は収穫する予定がないとのことで、頂けることになりました。一週間後の午後から妻と刈り取りに行き、宮司さんも親切に手伝って下さり、3人がかりで刈り終えることができました。宮司さんに大変感謝しております。誠にありがとうございました。

 翌週、小分けに括り庭の竿に干しました。すると朝方よりすずめがチュンチュンと目さまし時計の様に毎朝騒がしくさえずる様になりました。庭に様子を見に出ると10数羽のすずめがタデアイに群がり飛び去りました。地面にタデアイの種が一面に落ちており、すずめの糞で真白くなっていました。少し実っている程度と思っていましたが殆ど種だったのですね。さぞかしすずめにとっては暮れの大ご馳走だったのではないでしょうか。

タデアイの庭干し.jpg
タデアイの庭干し

 内心すずめさんごめんなさいと思いつつ最近の鳥インフルエンザのこともあり、早く乾かないと糞だらけになってしまうと、とても心配でした。何とか乾き、実家の獲り入れが終わった田圃で、灰作りのため燃やしていると、タデアイの実が小さなポップコーン状になって飛び散っていることに気づきました。よく見るとタデアイを火の中にくべるときにパチパチと音をたてて実がはじけているのです。口に入れると結構香ばしく美味しいものです。食したのは私が初めてかもしれませんね。(笑!)煙にまかれ涙を流しながらしきりに風上側に廻り込み、6時間掛かりでやっと灰にしました。できたてほやほやで火が残っているため金属容器に入れて持ち帰り、一昼夜庭に置き冷ましました。とれた灰は約2kg程度です。

タデアイの灰作り.jpg
タデアイの灰作り

 このくらいあれば何とか作品を手がけられると考えています。今後1年以上をかけて、灰と泥・砂を水簸選別し、灰汁抜き後乾かして石臼で擂り、篩いにかけて粒子径を揃えます。その後、釉のテスト調合(タデアイ灰・長石・珪石・カオリン等)を行いテストピースにかけて焼成し、色見作り(焼成温度と焼成雰囲気・胎土等の条件)を行います。気に入った色見が出来たら小物のテスト焼きをして再確認した後に更に作品に掛けて焼き、良いものができれば作品展に出したいと夢を馳せている次第です。

 この自然灰釉作りのきっかけは、熊本県阿蘇郡南小国町で北川八郎先生が自然灰釉の作り方として著書を書かれており、2年前に尋ねた時に自然灰釉で一番美しいのがタデアイと言われ一度トライしたいと思っており、その夢が叶う現実が巡ってきました。今後が楽しみです。

東広島の自然(2010.3)No.41 掲載

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