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記念の一日

記念の一日

吉中 隆義


 「9月14日に東広島市河内町入野大仙にある礫岩の地層などを会長と観察しに行くので、ご一緒しませんか?」と土岡さんからお誘いを受けました。

 当日は、会長、土岡さん、船越さん、それに市の職員さんと私の5人で現地に向かいました。そこは道路端で、砂層と礫層がはっきり出現していました。会長から「礫の向きや砂に含まれている鉄分の層によって水の流れている方向までも解る。」と教えていただきました。

 青みがかった層も流紋岩質のものだとも。また、その傾きの方向を見て「これは西条層の向きと少し違うようだ。」と地質図を広げながら言っておられました。更に、少し下った場所の、花崗岩が風化した真砂土の中の角ばった石を見て「このように三角形をした石があるのは岩盤が非常に近いからだ。」と言われました。

 その後、私の住む沼田川の船木峡まで行きました。ここは2001年の“芸予地震”で、岩石が節理にそって大きく崩落した場所ですが、会長はその右上方にある大きな岩を見て、すぐに双眼鏡をだされ、「せん断破壊面が見える」と教えていただきました。せん断破壊とは断層運動で岩石が左右にずれて引き裂かれた跡だそうです。私にとっては地質というものに大きな興味を抱くきっかけとなりました。

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せん断破壊.jpg
せん断破壊

 次に向かったのは通称“まわり地層”と呼ばれているところです。仏通寺から山陽自動車道に向かう道路端で、砂層と礫層が割合はっきりと観察することができます。

 層内の礫の傾きの方向や階段状に段差のある状態から、かつての水流の向きや堆積場が河口近くの岸辺だったことやその年代までもが推測できるそうです。

まわり地層.jpg
まわり地層

 また、すぐ近くの吉田山ではこの層の基盤にできたと思われる甌穴群(吉田山甌穴群 三原市天然記念物)を、かなり広い範囲で観察することができました。

おう穴群.jpg
おう穴群

 甌穴がつながって、大きくくびれた所に水溜りがあり、船越さんから「ここらでは珍しい水生植物のミズオオバコの花が咲いている」と教えていただきました。

 この同行で感じたことは、会長がどこへ出向くときにも様々な道具を常に大事に持ち歩いておられる事でした。この日は私にとって忘れる事のできない稔り多い一日となりました。

 誘っていただいた土岡さん、多くの好奇心と興味を抱かせて下さった沖村先生、ありがとうございました。

東広島の自然(2010.3)No.41 掲載

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