龍王山の8月の蛾
龍王山の8月の蛾
福永みちる
2011年8月29日、西条町寺家の龍王山で、ライトトラップに集まる蛾の観察を行いました。ライトトラップは、夜間、白いシーツなどを吊るしたところへライトを照らし、蛾類などの昆虫を集める方法です。
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当日は、龍王山の「憩いの森公園」の受付所裏のバーベキュー場の広場で、ライトトラップ装置を設置し、夜7時ごろからライトを照らし始め、11時過ぎにかけて行いました。当日の天候は晴れで、夜間になっても変わらず、気温が高い状態でした。
私の方法は写真撮影のみで、いわゆる採集はしません。種数は最終的に80種近くまで見られましたが、後日、それらのうち同定できたのは66種類でした。今回、同定できたもののみ報告します。
龍王山でのライトトラップでの観察は今回初めて行ったもので、これまでの記録はありません。そのため、今回確認された種数が多いか少ないか、また季節や行った場所による違いなども判断ができません。また、ライトトラップは、その日の天候や気温などにも大きく影響を受け、見られる種類や種数も大きく違ってくると言われています。
龍王山で8月にライトトラップで見られた蛾
科 | 亜科 | 和名 |
---|---|---|
カギバガ科 | カギバガ亜科 | ヤマトカギバ |
ウコンカギバ | ||
シャクガ科 | エダシャク亜科 | バラシロエダシャク |
クロクモエダシャク | ||
ハラゲチビエダシャク | ||
アオシャク亜科 | ヨツモンマエジロアオシャク | |
クロモンアオシャク | ||
ヒメシャク亜科 | ベニヒメシャク | |
ヤママユガ科 | ヤママユガ亜科 | ヤママユ |
スズメガ科 | ホウジャク亜科 | ビロードスズメ |
シャチホコガ科 | ウチキシャチホコ亜科 | ウスイロギンモンシャチホコ |
ハガタエグリシャチホコ | ||
ナカスジシャチホコ | ||
トビモンシャチホコ亜科 | コトビモンシャチホコ | |
クビワシャチホコ | ||
ドクガ科 | エルモンドクガ | |
ヒトリガ科 | コケガ亜科 | チャオビチビコケガ |
クロテンハイイロコケガ | ||
ハガタベニコケガ | ||
ヒメホシキコケガ | ||
ヒトリガ亜科 | ベニシタヒトリ | |
クワゴマダラヒトリ | ||
コブガ科 | コブガ亜科 | マエモンコブガ |
クロスジコブガ | ||
リンゴコブガ | ||
リンガ亜科 | トビイロリンガ | |
ヤガ科 | ムラサキアツバ亜科 | ヨツモンムラサキアツバ |
シロズアツバ | ||
亜科不確定 | フタテンチビアツバ | |
ベニコヤガ亜科 | キスジコヤガ | |
クロハナコヤガ | ||
シマフコヤガ | ||
カバイロシマコヤガ | ||
ハイイロシマコヤガ | ||
モモイロツマキリコヤガ | ||
アツバ亜科 | アオアツバ | |
カギアツバ亜科 | ウスベニコヤガ | |
テンモンシマコヤガ | ||
クルマアツバ亜科 | オオシラホシアツバ | |
アカマエアツバ | ||
トモエガ亜科 | オオトモエ | |
シタバガ亜科 | ホソオビアシブトクチバ | |
ヒメアシブトクチバ | ||
フサヤガ亜科 | フサヤガ | |
スジコヤガ亜科 | ヒメネジロコヤ | |
アミメケンモン亜科 | アミメケンモン | |
キノコヨトウ亜科 | キノコヨトウ | |
ヨトウガ亜科 | ウラギンキヨトウ | |
イラガ科 | アカイラガ | |
ボクトウガ科 | ゴマフボクトウ | |
マドガ科 | マダラマドガ | |
メイガ科 | キモントガリメイガ | |
ミツテンノメイガ | ||
ヨスジノメイガ | ||
シロヒトモンノメイガ | ||
クロズノメイガ | ||
ヒメシロノメイガ | ||
オオシロモンノメイガ | ||
アカシマメイガ | ||
クロウスムラサキノメイガ | ||
クロモンフトメイガ | ||
シロアシクロノメイガ | ||
シロテンキノメイガ | ||
ホソバソトグロキノメイガ | ||
ヒメハマキガ科 | アシブトヒメハマキ | |
ヒロズコガ科 | クシヒゲヒロズコガ | |
種 数 | 66 |
今回のライトトラップは、土岡会長と数人の会員のみの参加でしたが、終了後、土岡会長は“ライトトラップって、やってみるとけっこう楽しいものだね~!”とやや興奮気味に話されていました。
蛾はなんとなく汚い、気味が悪い、怖いなどと思われがちですが、近づいてよく見てみれば、なかなかどうして、きれいなものもたくさんいるし、何と言ってもデザインが豊富で、見飽きません。蛾と同じ鱗翅目の蝶が日本に250種類ほどなのに対して、蛾はなんと数千種類もいると言われており、そこもなかなか奥が深そうです。
2012年も自然研究会の行事として、ライトトラップも行われると聞いています。今回のライトトラップは、蛾だけではなく、クワガタ、カミキリムシ、コガネムシ、カメムシやセミ、カマキリ、カマキリモドキの仲間、バッタ類など様々な昆虫たちがやってきました。蛾は夜行性のものがほとんどで、普段あまり見かけないものも多く、この機会にさまざまな蛾たち、そして光に集まる虫たちを観察されるのも、よい機会ではないかと思います。
いったん装置をセットすれば、あとは虫たちが集まってくるのを待つのみ、食べ物や飲み物を食べたり飲んだりしながら待つのも、なかなかオツではないでしょうか。
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写真無し
33.アオアツバ
マダラマルハヒロズコガ
ヒロズコガ科
ライトトラップでやってきた蛾ではないのですが、龍王山で見られたので紹介します。
広島県ではあまり記録のない蛾だそうです。幼虫は、朽木の細片をつづり、八の字型の蓑を作ってその中にいます(写真では縞になった一部しか見えません)。
東広島の自然(2012.3)No.43 掲載