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ブログ/2013-08-20

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岡山県成羽(なりわ)の旅

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写真-1 エントモノチス

ミーアキャットです。
 2013.8.14に『O先生と行く岡山県成羽の旅』に参加しました。O先生(当自然研顧問)が行われている中国新聞文化センターの『石と生物』講座の特別野外授業です。参加者は総勢26人で,行き先は岡山県高梁(たかはし)市成羽町です。成羽町は中生代三畳紀の成羽層群が分布し,化石の産地として昔から有名です。

1.エントモノチス
 高梁市成羽町成羽では平成8年の農道工事の際に,エントモノチスが密集した厚さ約3mの地層が出現したそうです。その地権者さんのTさん宅を訪問して,化石体験をし,お話を伺いました。
 O先生のお話によりますと,エントモノチスは中生代三畳紀(約2億年前)に世界中に分布していた浅海の二枚貝で,生きていた期間が短かったため,三畳紀の示準化石となっています。上記の工事の際に現れた層は,同じ比重の貝殻が集まってできたもので化石床といい,レンズ状に分布していて連続性がないそうです。地層名は成羽層群地頭層です。
 Tさん宅の広い庭には,私たちがエントモノチス探しができるように,泥岩~細粒砂岩の欠片がたくさん用意してありました。どこを割っても,エントモノチスの印象が現れます(貝殻そのものは溶けてなくなっています)。
写真-2 Tさん宅の庭でO先生の講義.jpg
写真-2 Tさん宅の庭でO先生の講義

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写真-3 エントモノチス探し

写真-4 小学生が見つけたエントモノチス.jpg
写真-4 小学生が見つけたエントモノチス

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写真-5 同上

 これまでTさん宅には多数の学生や研究者が訪れたそうで,みなさんからのお礼の手紙や写真が綴られた厚い資料も見せていただきました(写真-6)。
写真-6 Tさん宅を訪れた人々の記念写真とお礼状綴り.jpg
写真-6 

 Tさん宅の庭の石垣には,ウミユリの破片が見える石灰岩礫岩が使われていました(写真-7)。三畳紀成羽層群の上に不整合で載る白亜紀関門層群の石灰岩礫岩と思われます。
写真-7 石灰岩礫岩(Tさん宅の石垣).jpg
写真-7 石灰岩礫岩の石垣

2.成羽美術館
 成羽美術館は建築家安藤忠雄さんの設計になるもので,コンクリート打ちっ放しの建物です。児島虎次郎の絵画や古代エジプト遺物コレクションなどと,成羽の化石が同居しています。りっぱなエントモノチスや植物化石が展示してありました。
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写真-8

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写真-9 入口付近の神楽の像

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写真-10 入口へ

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写真-11 唯一撮影できたレプリカ

 美術館の駐車場で岡山大学のS先生が合流されて,先生の先導によりバスは一路,植物化石採取へ。バスの中では,小学生が軍手をはめて,ゴーグルを付け,準備万端でした。私は子供用軍手というものを初めて見ました。写真を撮りたいと言いましたら,親切に大きく見せてくれました(写真-12)。
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写真-12 小学生の軍手

3.植物化石
 成羽町日名畑(ひなばた)に分布する成羽層群日名畑層の砂岩中から,植物化石を多産します。エントモノチスを産する前述の地頭層(海成層)より旧く,陸成の堆積物だそうです。
写真-13 露頭の前にて.jpg
写真-13 露頭の前にて

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写真-14 化石探し

 運のいい人はすぐに植物化石を見つけられました。ただ,母岩の砂岩が風化して軟らかくなっていますので,取り扱いを慎重にする必要がありました(写真-15~17)。
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写真-15 植物化石

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写真-16 同上

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写真-17 同上

 O先生が砂岩中に挟在している石炭層を発見されました(写真-18~19)。
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写真-18 中央上部の黒いところが石炭層

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写真-19 石炭

 この日もとても暑い一日で,化石探しにみなさん汗びっしょりでした。この露頭の前で全員で記念撮影を行い,本日の野外授業は終わりました。
 朝8時に広島駅を出発し,18時半に広島駅に帰着しました。広島駅を前にしてO先生が締めの挨拶をされましたら,早くも来年の計画を希望する声があがっておりました。年齢幅およそ75歳のツアーでしたが,化石探しはどの世代でも楽しいですね。



コメント

  • “おいしい”経験をされましたね。古生物的には世界的に有名な産地です。
    特に日名畑の露頭(天然記念物に指定されていない場所)をS先生に教えてもらうなど・・、ホント羨ましいですね。出てきた植物化石も良いじゃないですか~。同定できそうですね。いつか見せてほしいなあ。
    -- ヌシです 2013-08-20 (火) 21:01:33
  • はい,了解,ヌシさん。 -- ミーアキャットです。 2013-08-20 (火) 21:09:48

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