自然に親しみ、観て触れて学びながら、自然を守ろう

ブログ/2013-10-03

Top / ブログ / 2013-10-03

東広島市の生き物便り⑦

⑦-1.jpg
小枝にとまって休むウスバキトンボ

のさんぽです。
 ウスバキトンボ、夏ごろ田んぼの上や空き地、その他いろいろなところでよく見かけるあのトンボです。ウスバキトンボは、日本の土着のトンボではなく、春ごろ、南方からやってくるトンボです。飛来したウスバキトンボたちは、池や田んぼなどで繁殖を繰り返しながら日本列島を北上し、夏にかけてどんどん数を増やしていきます。けれど、ヤゴが寒さに弱いことから、冬を越せずに全滅してしまうとされています。そうして、また翌春、新たなトンボたちがやってくる、ということを毎年繰り返しています。

 お盆の頃、よく見られることから、「精霊(しょうりょう)トンボ」、「盆トンボ」と呼ばれることがあります。広島県の北部では、盆が変化して「ボニトンボ」と呼ぶそうです。きっとぼちぼち君さんが紹介されている「ボニバナ」のボニと同じ意味だろうと思います。
 
 このウスバキトンボを、福富町や豊栄町などでは昔から、「ソバウエトンボ」と呼んでいたそうです。ソバウエトンボという呼び名は、全国的に見ても(おそらく)ないそうで、ここしかない呼び名です。ソバウエというのは、ウスバキトンボが多くなる頃、ソバの種を植えていたからです。ソバウエトンボと名付けた昔の人たちは、生き物に親しみを寄せ、季節の移り変わりをトンボを通しても見つめていたのだ・・と感慨深く思いました。そして、むかし農家の人がソバを植えている周りを、ウスバキトンボがそばにとまって休んだり、たくさん飛びまわっている・・そんな光景を思い浮かべました。

 けれど今まで私の周りでは、ソバウエトンボという言葉を聞いたことがありませんでした。福富町や豊栄町周辺だけの言葉なのか、もう使う人がいないのか、わかりません。8月中頃、「豊栄町のオオサンショウウオを守る会」の会長Tさんとお話しする機会があり、たまたまトンボの話が出て、この辺ではウスバキトンボをソバウエトンボと呼ぶと話されました。ソバウエトンボと呼んでいたというのは今から80年ほど前の記録にあったのですが、90代のTさんがそう言われるのを聞いて、実際に呼んでいた方からその話を聞いたことに、何か感動してしまいました。Tさんは、山際の畑を指さして、あそこにもうソバを植えていると言われました。しばらくしてそこを通ると、すでに白いソバの花が咲き始めていました。



コメント

  • 渡り鳥ならぬ渡るトンボですか、知りませなんだ。そういえば田んぼの上を群れで飛び回っているのを見ますが、「ボニトンボ」に「ソバウエトンボ」ですか、郷愁を誘う名前ですのー。 -- かやネズミでがんす。 2013-10-03 (木) 07:57:12

認証コード(3506)

powered by Quick Homepage Maker 4.27
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional