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広島県向原地域の河川縦断形が示す 河川争奪(流路の変動)

行事報告

短報 広島県向原地域の河川縦断形が示す
河川争奪(流路の変動)

幾田 擁明
広島市こども文化科学館
Longitudinal profile of river shows River capture
In Mukaihara Region , Hiroshima Prefecture
Yasuaki Ikuta
Hiroshima Children’s Museum
Abstract : In Mukaihara Region of the City of Akitakata, Hiroshima Prefecture ,Misasa river captured Toshima river. I dorew Longitudinal profile of river and found distinct river capture.

はじめに
 広島県安芸高田市向原は、江川水系の戸島川上流部を、太田川水系の三篠川が争奪した所として知られている。私はこの戸島川と、三篠川およびその上流部の見坂川の縦断面図を描いてみたところ、極めて明瞭な河川争奪の様子を確認することができた。

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1.png
(国土地理院5万分の1地形図可部に加筆P,Qは図2に対応している。)

前頁の図は向原地域の河川の位置関係を示している。向原の北部には、江川に合流して日本海に流入する戸島川が北に向かって流れている。一方、南の地域では見坂川が北に向かって流れ、三篠川と合流して向きを変え、瀬戸内海に流入している。向原駅周辺には段丘礫層が報告されている。

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2.jpg

 上の図は、戸島川と三篠川上流域の河川縦断形図である。三篠川上流部の見坂川の標高260m付近(P)に遷急点が現れている。この遷急点から上の河川縦断曲線は戸島川の縦断曲線になめらかに連続する。このことは、見坂川が過去において戸島川につながっていたことを明瞭に物語っている。

 向原は従来から河川争奪を示す地域として、また、向原駅周辺は風隙地形としてよく知られていたが、以上のように、河川縦断形図を描くことによって、より明瞭に河川争奪の事実を示すことができた。争奪した河川の上流部に、争奪された河川の上流部が残されている現象は、河川争奪現象の確認として有用であり、西に13kmほどの上根地域や、山口県錦川上流の宇佐地域においても同様の現象が確認できる。

参考文献
今村外治他(1953):上根・船佐・三良坂・庄原・勝光山鉱山地質巡検旅行案内書
広大理学部地学教室


東広島の自然(2013.3)No.44 掲載

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