龍王山自然観察会
龍王山自然観察会
新枝幹夫
平成21年7月19日(日)に東広島市の龍王山憩いの森公園で,地質や植物・小動物の自然観察会が行われました(写真-1)。
写真1 観察風景
最初に公園内を流れる半尾川に分布する花崗岩を観察しました。広島県には花崗岩が広く分布しており,山頂部が浸食されて応力解放された結果,水平方向の「シーティングジョイント」といわれる板状節理が発達しているところが多く見られます。この半尾川でもその典型的な節理が認められます(写真-2) ただ,よく観察しますと節理は完全に水平ではなく,川の下流側にわずかに傾斜しています。岩塊が重力により節理に沿って下流側に少しずつすべり落ちているのが分かります。
写真2 花崗岩のシーティングジョイント
つぎに半尾川断層を観察しました(写真-3) ここは花崗岩中の横ずれ断層で,鏡肌が見事に露出しています。鏡肌にはほぼ水平方向の条線がきれいに残されています(写真-4)。この条線の上を横方向に手のひらでさわると,片方側にはつるっとすべり,逆方向は鮫肌のようにひっかかります。これにより断層がどちら側に動いたかを知ることができます。
このあと,植物やトンボの観察を行いました。
写真3 半尾川断層遠景
写真4 半尾川断層の鏡肌
東広島の自然(2010.3)No.41 掲載